未来はもっと“操作しない世界”のはずだった
令和2年のスマホライフを振り返ってみて、ふと驚いたことがある。
それは、いま自分たちが当たり前に過ごしている生活が、コンピュータ黎明期の人たちによって、すでに予想されていたということだ。
読んだ本の第1章には、コンピュータの歴史が書かれていた。
そこで描かれていた未来像は、スマホやPCが普及した世界──まさに今の私たちの生活そのものだった。
ただし、ひとつだけ決定的に違っていた。
それは、「操作しているかどうか」だ。
当時の人たちが思い描いていた未来は、もっと自然なものだった。
わざわざ画面をタップしたり、アプリを開いたり、設定に悩んだりしなくてもいい。
コンピュータが生活に溶け込み、人はただ“望む状態”を思い描くだけでいい──そんな世界だ。
でも現実はどうだろう。
気づけば、スマホに何時間も吸い取られ、PCの前で一日が終わる。
操作に追われること自体が、日常になってしまっている。
「昔と今」ではなく「理想と今」で考える
よくあるのは、ガラケー時代との比較だ。
「あの頃はシンプルだった」「今は便利だけど忙しい」そんな話。
でも、本当に見るべきはそこじゃない気がする。
比較するべきは、“過去の生活”ではなく、“過去に描かれた未来”。
そう考えると、今の自分たちはまだゴールに到達していないどころか、途中の不完全な状態にいるのかもしれない。
そう思うと少しワクワクする。
「もう完成された世界に生きている」のではなく、
「まだ改善の余地がある世界に参加している」と考えられるからだ。
PCとスマホに支配される1日への違和感
とはいえ現実は、1日がPCとスマホの操作で終わることに、ほとんど疑問を持たなくなっている。
自分はシステムエンジニアなので、なおさらだ。
PC作業は仕事の一部どころか、仕事そのものでもある。
でも、よくよく考えると違和感がある。
本当に価値があるのは「考えること」や「仕組みを作ること」のはずなのに、
実際に時間を奪っているのは、単純作業、管理作業、チェック作業だったりする。
具体例①:メール処理に1時間使っている現実
例えば、朝のメールチェック。
・未読を開く
・内容を確認する
・必要なら返信する
・関係者をCCに追加する
・タスク管理ツールに転記する
これだけで気づけば30分〜1時間。
でもよく考えると、やっていることの大半は「判断」ではなく「転記」と「整理」だ。
本来なら
「重要なメールだけ抽出して、タスク化してほしい」
それだけでいいはずなのに、
実際には
“メールソフトを操作する作業”に時間を使っている。
具体例②:テストやチェック作業で消耗する
システム開発でも同じことが起きている。
・テストケースを開く
・実行結果を確認する
・スクリーンショットを撮る
・Excelに貼り付ける
・結果を記録する
この一連の流れ、ほとんどが「作業」だ。
しかも人間がやるとミスも起きるし、時間もかかる。
本来価値があるのは
「この機能は正しく動いているか?」という判断なのに、
そこにたどり着くまでの“儀式”に多くの時間を使っている。
具体例③:スマホで“何も得ていない時間”
プライベートでも同じ。
気づけばSNSやニュースアプリを開いて、
目的もなくスクロールしている。
10分だけのつもりが、気づけば30分。
しかも、終わったあとに残るのは「何を見たか覚えていない」という感覚。
これは、
「情報を得たい」という意図ではなく、
「アプリを操作すること」自体が目的化している状態だと思う。
人間の役割は「操作」ではなく「意図」を示すこと
こうした具体例を並べてみると、共通点が見えてくる。
それは、
「本来やりたいこと」と「実際にやっていること」がズレていること。
・本来:重要な情報を知りたい
・実際:メールを開いて整理している
・本来:品質を確認したい
・実際:スクショを貼っている
・本来:リラックスしたい
・実際:延々とスクロールしている
つまり、人間は「意図」を持っているのに、
そこにたどり着くための“操作”に時間を奪われている。
きっとこれからの時代は、
「どう操作するか」ではなく「どうあってほしいか」を伝えることが、人間の役割になっていく。
だから、自動化に手を伸ばす
そんなことを考えているときに、手に取ったのが
アル・スウェイガート著『退屈なことはPythonにやらせよう』だった。
分厚い本だけど、やろうとしていることはシンプルだ。
「人間がやらなくていいことは、コンピュータにやらせる」
例えば、
・メールから自動でタスクを生成する
・テスト結果を自動で記録する
・決まった作業をワンクリックで終わらせる
こういった小さな自動化の積み重ねが、
“操作する時間”を減らしてくれる。
小さな一歩で、未来に近づく
いきなり理想の未来にはならない。
でも、
「この作業、毎回やってるな」
「これ、本当に人間がやる必要ある?」
そう気づいた瞬間が、変わるチャンスだと思う。
スマホやPCに振り回される側ではなく、
それらを“裏で動かす側”に回る。
そんな小さな一歩が、
昔の人たちが思い描いていた未来に、少しずつ近づいていく気がしている。
フリーダム
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